先ず、国際特許出願(PCT出願)のメリットについて、その概要をご説明いたします。
国際特許出願(PCT出願)を行うことにより得られるメリットは次の通りです。
・各国への出願の束としてのメリット
国際特許出願(PCT出願)を行うことにより、PCT加盟国(2025年2月1日現在158か国)に出願したのと同じ効果が得られる。
優先権を主張した場合、実質的に優先日が出願になると考えて良い。
・30ヶ月の移行期限 各締約国での出願を有効にするための手続き(移行手続き)は、基本的に優先日から30ヶ月まで保留状態とすることができる。
つまり、多少言葉は悪いが各国に対する先願権を優先日から30ヶ月つば付け状態としておくことができる。
したがって、例えば、個人の方は、国際特許出願を行った後、移行期限前2ヶ月の余裕を見て優先日から28ヶ月以内にメーカー等に対して、各国ごとの出願権を売り込むことも可能(ただしメーカーへの売り込みは容易とはいえないので過度の期待は禁物)。
・国際調査機関による国際調査報告および見解が得られる 国際特許出願を行うと、通常、出願から2~3ヶ月で、国際調査機関による国際調査報告および見解が得られるので、その結果を見て、以後の方針を決めることができる。
なお、日本国で特許出願をし、
早期審査等によって、すでに特許になっている場合、その特許時の内容で国際特許出願を行えば、略間違いなく肯定的見解が得られ、その見解は各国で尊重されることが期待できる。したがって、上記売り込みにも有利に働くことが期待できる。ただし、この調査結果と見解は各国当局の判断を拘束するものではなく、各国の判断に委ねられる点に留意する必要があります。
・
権利化を希望しない国に対しては、移行手続きを行わなければ、それで良い。