国際特許出願とは、特許協力条約 (PCT) に基づき、1つの国際特許出願を行うことで、PCT加盟国全てに対し同時に出願したのと同じ効果が得られるという国際的な特許出願をいいます。
「 国際出願をすると、出願した発明に類似する発明が過去に出願された(公知となった)ことがあるかの調査(国際調査)が、すべての国際出願に対して行われます。
その際には、その発明が進歩性、新規性など特許取得に必要な要件を備えているか否かについて審査官の見解も作成されます。
もちろん、それらの結果は、出願人に提供されますので、出願人は、自分の発明の評価をするための有効な材料として利用することができます。」
(特許庁ホームページより)
国際特許出願(PCT出願)を行うことにより得られるメリットは次の通りです。
・メリット(1) 各国への出願の束としてのメリット
国際特許出願(PCT出願)を行うことにより、PCT加盟国(2025年2月1日現在158か国)に出願したのと同じ効果が得られる。
優先権を主張した場合、実質的に優先日が出願日になると考えて良い。
・優先権とは
先の特許出願をした後、優先期間(特許は12ヶ月)内に優先権を主張して後の出願を行った場合に、後の出願は、先の出願と後の出願との間に生じた事象によって不利な取り扱いを受けない、という権利です。
したがって、優先権を伴う後の出願(国際特許出願を含む)は、実質上、先の出願日に出願されたもとして取り扱われます。
例えば、2025年1月1日に日本特許出願を行い、その後、その日本出願に基づく優先権を主張して、1年以内に国際特許出願を行った場合、その国際特許出願は、実質上、日本特許出願の出願日(2025年1月1日)に出願されたもとして取り扱われることになります。
・メリット(2) 30ヶ月の移行期間が得られる
国際特許出願を、各締約国での出願として有効にするための手続き(移行手続き)は、基本的に優先日から30ヶ月まで行えば良いことになっています。
逆に言えば、移行手続きは、優先日から30ヶ月まで保留状態とすることができる、ということになります。
つまり、多少言葉は悪いですが各国に対する先願権を優先日から30ヶ月つば付け状態にしておくことができる、ということになります。
したがって、例えば、個人の方は、国際特許出願を行った後、移行期限前2ヶ月程度の余裕を見て優先日から28ヶ月以内にメーカー等に対して、各国ごとの出願権を売り込むことも可能であるということになります(ただしメーカーへの売り込みは容易とはいえないので過度の期待は禁物です)。
・メリット(3) 国際調査機関による国際調査報告および見解が得られる 国際特許出願を行うと、通常、出願から2~3ヶ月で、国際調査機関による国際調査報告および見解が得られるので、その結果を見て、以後の方針を決めることができる。
なお、日本国で特許出願をし、
早期審査等によって、すでに特許になっている場合、その特許時の内容で国際特許出願を行えば、略間違いなく肯定的見解が得られ、その見解は各国で尊重されることが期待できる。したがって、上記売り込みにも有利に働くことが期待できる。ただし、この調査結果と見解は各国当局の判断を拘束するものではなく、各国の判断に委ねられる点に留意する必要があります。
・
メリット(4) 権利化を希望しない国に対しては移行手続きを行わなければ良い。 国際特許出願(PCT)には、様々なメリットがありますので、個人の方は、国際的に活用できそうなアイデアを思いついた場合、国際特許出願(PCT出願)を、次のように活用するのが良いと思います。 以下のご案内は基本的考え方ですので、
<国際特許出願と日本出願の順番に関し>も是非ご参照下さい。
| 1. | 類似アイデアの有無調査 |
| 2. | 類似アイデアがなければ、国際特許出願(PCT出願) |
| 3. | 国際調査報告書および見解書を入手後、その結果に応じ、 |
| | 出願日から28ヶ月以内を目処に、各国(条約締約国)における特許出願権(特許を受ける権利)を、企業に売り込む |
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| ☆ | 企業への売り込みは、かなり難しいものですので、過度の期待は禁物です。 |
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<お勧めの順番>
以下の通りですので、下記の順番Aをお勧めしております。
国際出願と日本出願(日本出願)を行う場合、主な順番として次のA,Bがあります。
・順番A
1.先ず、日本特許出願および早期審査の申請を行う。
2.特許出願および早期審査の申請から通常2~4ヶ月位で、最初の審査結果が得られるので、その結果を見て、以後の方針を例えば次のように決める。
(1) 最初の審査結果が否定的な場合
最初の審査結果が否定的であり、対処不能と思われる場合には、その後の手続は断念する。
(2) 最初の審査結果が肯定的な場合
最初の審査結果が肯定的または否定的であっても対処可能であり、特許取得の意義がある場合には、手続を続行し、日本特許の獲得とともに、国際特許出願も行う。
・順番B
1. 国際特許出願を行う。2. 通常、出願から2~3ヶ月で、国際調査機関による国際調査報告および見解が得られるので、その結果を見て、以後の方針を決める。
(1) 国際調査報告および見解が、肯定的である場合
日本への移行等を検討する。
(2) 国際調査報告および見解の結果が否定的であり、対処不能と思われる場合
その後の手続は断念する。
※対処可能な場合でも、PCT19条補正、予備審査請求、34条補正等、国際段階での手続となり、費用がかさみますので、特に個人お客様には得策とは言えないと思います。
・順番Aのメリット・デメリット
<順番Aのメリット> メリット①
日本特許が確定(又は略確定)した状態で、国際特許出願を行うので、略間違いなく、肯定的な国際調査報告および見解が得られる可能性が高い。
メリット②
最初の審査結果を受けて断念する場合の損失費用も、初めから国際出願を行う場合に比べて多少少なくてすむ。
メリット③
順番Bよりも低額で、少なくとも日本特許を獲得できる可能性は高くなる。
<順番Aのデメリット>
特許の可能性があって、国際出願に進む場合は、その分の費用が、別途かかることになりますので、日本出願費用+国際出願費用となり、総額では高額になります(なお、初めから国際出願をした場合でも、日本で特許を獲得するには別途手続(費用)が必要となりますので大きなデメリットとは言えないと思います)。
・順番Bのメリット・デメリット
<順番Bのメリット>
国際調査報告および見解が肯定的である場合、日本への移行費用を含めた費用は順番Aよりも低額となる。
<順番Bのデメリット>
デメリット①
国際調査報告および見解の結果が否定的であり、その後の手続は断念する場合、順番Aよりも損失費用は高くなる。
デメリット②
国際調査報告および見解の結果が否定的であるが対応可能で有り、国際段階で対応場合、PCT19条補正、予備審査請求、34条補正等、国際段階での手続となり、費用がかさむ。
<お勧めの順番>
上記の通りですので、順番Aをお勧めしております。